聞き耳幻八浮世鏡 黄金小町
吉田雄亮著 双葉文庫 評価 ☆☆☆
カバー(裏表紙側)に「書き下ろし長編時代小説,待望の新シリーズ第一弾」とあるので,導入部はレギュラーとなる主要人物紹介から始まるだろう,聞き耳幻八とは,どんな男なのだろう,と期待をもって読み始めました。(カバーイラストを見ると、素浪人のいい男って感じです)
カバーイラストどおりに,大川の岸辺で女の死体が見つかり,北町奉行同心の石倉五助が現場に出向きます。川から引き上げた死体を見聞しているところに,「月代をのばした,着流しの,浪人者としかみえない男」が登場します。
主人公の聞き耳幻八の登場です。
「読売の文言書きや人情本などの戯作をしている」,というのは,現代で言えば,さしずめルポライターでしょうか。「れっきとした四十俵二人縁扶持,小普請組組下の御家人,朝比奈哲三の嫡男」で,剣の腕は凄くて,芸者の駒吉と同棲しているという人物像は,娯楽色が強い時代小説にはよくある形です。
さて,引き上げられた死体は,芸者の染奴。駒吉の所にときどき遊びに来ていて,二人の世間話を耳に挟んでいた内容は,読売におあつらえ向きのスキャンダルねたとくれば,版元の玉泉堂の主,仲蔵も見逃すはずがありません。
「まず女の死体が,大川は御船蔵の近くに浮いた。女はなかなかの美形で,どこの何者か続報で明らかにする,と読み手の気を引く終わり方で第一報を出す」ことになります。
染奴の客筋,つまり,スキャンダルねたの大店の主に対して,幻八がとった行動とその理由など,幻八を巡る人間関係が事件の進展に合わせて描かれていきますが,まだらっこしいというか,面白味に欠ける感じがしました。
しかし…
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