10月12日(金)から14日(日)までの三日間,かつしかシンフォニーヒルズのギャラリーで,江戸の粋「江戸友禅展」が開催されているのを東京新聞のWeb記事で知り,昨日,見に行ってきました。
よく,「京のはんなり,江戸の粋」といいますが,江戸友禅は「江戸褄」という柄付けが生まれたように,京友禅や加賀友禅のようなあでやかさはないということを染織について説明した本で読んでいましたが,実際に着物になった作品を見たことがありませんでした。呉服屋さんの展示会でも,仮絵羽で飾ってあるのは,京友禅や加賀友禅ばかりです。
会場に入って,飾られている作品群を目にした瞬間,感じたのは,モチーフの独特さです。友禅の着物,特に訪問着や留袖のように絵羽になっているものは花鳥風月を題材にしたものが多いのですが,深泉さんの作品は,歴史の逸話や歌舞伎,心象や着物をお召しになる芸者さんのお人柄や生き様をモチーフにしたものが圧倒的に多かったことです。
朝丘雪路さんがお召になった写真と一緒に展示されていた「暁を目指して」という着物は,袖から方にかけてと裾に飛翔する鴉の群れが描かれています。縁起が悪い,嫌われ者の鴉をモチーフにすること自体,珍しいのですが,どの鴉も目付きが鋭いのです。「暁を目指して」という題のように,鴉が意志を持って飛んで行くという感じが伝わってきます。
「執念」という作品は,髑髏,蜘蛛の巣に枯葉,三味線を弾く骸骨などが描かれています。骸骨は気味悪い感じではなく,どこかユーモラスな感じがしました。
その他の作品も,それぞれに作者さんの思いが込められていて,それが伝わってくるような,ある種の迫力を感じました。
会場に着物の保持者である大橋光臣さんと,深泉さんのご子息がいらっしゃており,お話を伺うことができました。
ご子息のお話から推測すると,深泉さんは小説やドラマに出てくる典型的な職人気質・職人魂を持った方だったようです。
絵の雰囲気が葛飾北斎の肉筆画の雰囲気とちょっと似ている気がしましたが,もしかしたら,絵(友禅)を描くことに没頭する生き様が,北斎と深泉さんは似ているのかもしれないと感じました。
会場出入り口のところで,「執念」の絵柄を基にした手拭を売っていたので,記念に買ってきました。


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